前川的にもブログ

サルでも分かるメスイキボンジュール

【少女終末旅行】おにく

ーーーケッテンクラートで真夜中の外を移動中
チト「はぁ……お腹空いたな」
ユーリ「目がまわるぅ〜かな」
チト「ずっと外を歩いてるけど、全然レーション見つからないや」
ユーリ「おーなーかーすいたー!」ドンドン
チト「そうだな……」
チト「ここまで来るとイライラするな。馬鹿ならなおさらだ」
ユーリ「ふごごごご!」ガンガン
チト「ああ、あまり強く蹴るなぁ」
ユーリ「ん……?ちーちゃん止まって!」
チト「どうした」
ユーリ「なんか……食べられるものの匂いがする」
チト「こんな場所にあるわけないだろ馬鹿か」ヘルメットコツン
ユーリ「今動いたよ!」
ユーリはつばを飲み込み、三八式歩兵銃を手に取る。
ユーリ「どこだろう……物凄い近くにいる」
ユーリはケッテンクラートから降り、下から隅々まで見渡す。
チト「こんなところで止まってられないぞ」
ユーリ「あ、目の前にいた」
銃声が響く。
チト「うあああ!何すんだお前!」
ユーリ「あれ?ちーちゃんだった」
銃声が響く。
チト「だからどこ狙ってんだよ!」ボコッ
ユーリ「いてて…でもそこにいるんだよ」
ユーリ「待っててねちーちゃん」
ユーリは銃を構え、逃げていく獲物に近づいていく。
ユーリ「おにく…おにく…おにく…」
チト「どこ行くんだよ馬鹿〜、その距離だったらこれに乗っていけばいいだろ」
ユーリ「そしたらアイツが逃げちゃうよ」
ユーリは走って獲物を追いかける。
もう一度、銃声が鳴った。薬莢が飛び、雪に埋もれる。
ユーリ「やったー!ちーちゃん捕まえた!」
チト「おー!でかしたぞユーリ」
チトもケッテンクラートから降りてユーリの側へ駆け寄る。
ユーリ「へへ、コイツちーちゃんみたいだね」
チト「何怖いこと言ってんだよ」
ユーリ「おにく…!」ムシャァ
ユーリは獲物にかぶりつく。耳鳴りがした。
ユーリ「うぇへーっ!」
ユーリは肉の欠片をペッと吐き出した。
チト「生で食うからだろ」
ユーリ「うるさいなぁ」
ーーー。

ユーリ「寝ちゃった。ちーちゃん起きて」
チト「んー、あれ?私裸だ」
ユーリ「そんな格好で寒くないの」
チト「寒いな」
ユーリ「はいこれ、落ちてたよ」
チト「ありがと…ユーリ、申し訳ないんだけど、あれ動かなくなっちゃったんだ」
ユーリ「そうなの?じゃあ歩いて行こうか」
ユーリは吹雪の中を歩いていく。
ユーリ「ぜっつぼ〜♪ぜっつぼ〜♪」
ユーリ「……?」
チトの姿がない。
ユーリ「ちー…ちゃん?」
ユーリ「ちーちゃーん、ちーちゃーん」
ユーリ「いなくなっちゃった」
ユーリは吹雪の中で座り込む。横風でユーリの片側に雪が積もっていく。
ユーリ「ちーちゃーーーーん」
ユーリ「……」
ユーリ「ちーちゃん?」
ユーリ「ちーちゃーん!!」
寺院のときのようにチトは脅かそうとしてるのだと、ユーリは思った。
ユーリ「次はこっちから脅かしてやるー」
ユーリは雪の中に埋まり、身を隠してチトを待った。

ーーー

ユーリ「おーなーかーすいたー!」ドンドン
チト「そうだな……」
チト「ここまで来るとイライラするな。馬鹿ならなおさらだ」
ユーリ「ふごごごご!」ガンガン
チト「ああ、あまり強く蹴るなぁ」
ユーリ「ん……?ちーちゃん止まって!」
チト「どうした」
ユーリ「なんか……食べられるものの匂いがする」
チト「こんな場所にあるわけないだろ馬鹿か」ヘルメットコツン
ユーリ「今動いたよ!」
ユーリはつばを飲み込み、三八式歩兵銃を乱暴に手に取り、ドンと立ち上がる。ユーリの目は血走り殺意に満ち溢れていた。
ユーリ「どこだろう……物凄い近くにいる」
ユーリはケッテンクラートから降り、充血した目で下から隅々まで見渡す。
チト「ユーリ、こんなところで止まってられないぞ。それに……」
チト「なんか……おかしい」

ユーリ「あ、目の前にいた」
急にユーリの顔の力がスッと抜けた。目も落ち着き、余裕の眼差しであった。
銃声が響く。チトの左肩に被弾し、骨が抉られカルシウムの破片が雪に紛れる。血は霧のように軽く散った。服が血を吸い込む。
チト「あがっ」
チトは運転席から地面に転げ落ちる。
ユーリ「あれ?ちーちゃんだった」
ユーリは緩んだ口をもう一度食いしばり、チトの息の根を止めようと裏側へ駆け寄ってくる。
チト「いたぁぁ……ああ……」
分厚い服を着ていたため致命傷にはならなかったが、至近距離で撃たれたため貫通し、骨を一部持っていかれた。
チト「おぉぉいいいい!!ユーリ!!」
チト「馬鹿馬鹿馬鹿……馬鹿ァ!!」
力を振り絞り、ヘルメットをユーリにぶつける。ユーリは尻もちをついた。
チト(殺される殺される殺される殺される殺される…………)
チト「暑い…凄く暑い…」
チトは服を脱ぎ捨て、雪の中を這いつくばる。彼女の引きずり跡は白が紅に染まる道を切り開いていた。
チト「痛い…」
涙が溢れる。物理的な痛みより、別の痛みを強く感じている。肩の穴より胸の穴が苦しく、チトの頭に刺激を与えている。

ユーリが立ち上がる。
ユーリ「いてて…でもそこにいるんだよ」
ユーリ「待っててねちーちゃん」
ユーリは銃を構え、逃げていく獲物に近づいていく。
ユーリ「おにく…おにく…おにく…」
ユーリ「そしたらアイツが逃げちゃうよ」
ユーリは走って獲物を追いかける。
雪に紛れるチトだが、血で場所がバレてしまう。
チト「やめろーー!!ユーーリーー!!」
もう一度、銃声が鳴った。薬莢が飛び、雪に埋もれる。チトの腹部に命中し、ジワジワと血が溢れ出る。
ユーリ「やったー!ちーちゃん捕まえた!」
チトもケッテンクラートから降りてユーリの側へ駆け寄る。
ユーリ「へへ、コイツちーちゃんみたいだね」
チトは涙を流し、重力に任せて力なく顔を横にした。ユーリが四つん這いになり、裸のチトの体臭を十分に嗅いだ。そして腹部の傷口めがけて
ユーリ「おにく…!」ムシャァ
チト「ああああああああああああ!!」
脂肪部分を引き千切った。チトはユーリの耳元で叫ぶ。傷穴がビリビリと広がり、胸骨が現れた。血がさらに湧き出る。ユーリの顔に、腸内の激臭香る血がべっとりとつく。
ユーリ「うぇへーっ!」
ユーリは肉の欠片をペッと吐き出した。
ユーリ「うるさいなぁ」
ユーリはチトの顔をヘルメットで殴る。目を負傷し、呼吸と共に目が出だり引っ込んだりしている。
ついでに喉も切った。目の動きは止まり、空気が漏れる音が聞こえる。
チト「ヒョー、ヒョー、ヒョー」
ユーリは脂肪の柔らかな舌触りを不快に感じ雪に吐き出す。固形レーションばかりだったので脂肪は喉を通らず吐き気を催した。
チトのような何かを雪に置いてけぼりにすると、荷台の上で横になった。この日はまだ吹雪ではなく、しんしんと雪が降っているだけだった。ユーリは天から落ちる雪を見て寝て、チトは地に積もった紅白の雪を見て寝た。傷穴を埋めるようにして雪が積もっていく。