前川的にもブログ

サルでも分かるメスイキボンジュール

台風の前日には縁の下にネコがいる

コンクリート打ちっぱなしの部屋に私はいる。目の前には白い布で目隠しをされ、椅子に縛り付けられてる少女が一人と男が一人。
「やれ」
男は私にアイスピックを渡した。
「へ…?」
「やれ。」
「やれって…何を?」
「そうだよな、『やれ』っていう言葉があっても何を指すのか分からなければできないよな」
もう一人、私と同じくらい女の子が部屋から引き摺られてきた。男は血がこびり付いた金属バットを握っている。
「何ここぉ?!意味わかんないんですけど!はぁ?ちょっと何なの?!」
スカジャンを着たギャル。
私の目の前に座っている女の子も反応して口をガタガタいわせている。
男はギャルの髪を引っ張った。
「いっだぁ……へっ…?え……?いや……嫌……ぁ」
「これが『やる』の意味だ」
男は容赦なく女の頭部めがけてバットを斜めに振り下ろした。
ゴリゴリとした、聞いたことのない音と共に首は捻られ、目が床に落ちる。
男はすぐさまに振り上げ、瀕死の彼女の顎を割った。ガチンと歯と歯が噛み合う。彼女はもうし息絶え、口がべろんと開いている。
「これが『やる』だ」
男は私の背後に回り、後頭部に何かを突きつける。
「私、何もしてませんよ…なんで…」
「本当に何もしてないのか」
「だって…だって私起きたらここに居たんですよ…おかしいじゃないですか」
「逆におかしくない部分は何だろうな」
「…」
「黙ってれば良いと思ってるのか」
男は私の手のひらにまち針を刺した。私は崩れ落ちる。男は私の上に乗り、身体の至るところに針を刺してきた。もう痛みとかどうでも良くなってきた。むしろ笑いが込み上がってくる。
「殺してよ…すぐに死ねるよう殺してよ……」
「なんで私が目の前の、女の子を殺さなきゃいけないの…?」
男は私の顔を片手で掴んだ。
「知りたい?」
私はようやく涙を流す。
「女の子が壊れて、罪のない女の子を殺す瞬間を見るのが大好きだから」
「貴方がそこで放置されてる子を殺すだけで良いんですよ。そう、これは夢」
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
「ようやく謝りましたか。認めたんですね」
「ごめんなさい」
「謝ったということは貴方は何か罪を犯した。だからこういう目に遭っているんです」
男は私から離れた。
「ごめんなさい」
私は立ち上がり、アイスピックを握る。脚に力を入れようとしたが崩れ落ちてしまった。縛り付けられた女の子の前で。
アイスピックは女の子の脚に刺さった。
「あぃぃ……いぎい……!」
……?
以外にも喜んでいるように見える。脚をばたつかせて喜ぶ幼児のよう。
「むぐぐぐぐうううう!!」
「ちなみになんですが、実はその娘は親殺しの罪があったんですよ」
どう考えても後付だろう。しかし、その嘘は私に安らぎを与えていた。
女の子は失禁した。興奮しちゃったのかな。
かわ…いい……?
かわいいかも……
少し、少しだけ目隠しの奥にある瞳を見たくなった。
私は目隠しを外してあげた。
中には真っ赤に充血し、殺意に満ちた瞳があった。
アイスピックを立ててみる。目をつむった。
私は女の子の目を開けさせ、アイスピックをゆっくりと指していった。
「むぎゃあああああああ!!あんああああああまああああああ!!!!」
脚がうるさく感じた。もっと奥へ、手のひらを使って押し込んだ。
椅子が倒れた。私は男からバットを奪い、女の子に向かって横腹を叩いた。
「そういえば、この子私を虐めてたヤツに似てる」
そう呟き、殴る。椅子が壊れる。
もう焦点が合っていなかった。ぼやけた世界、夢の中で私は暴れている。

【少女終末旅行】おにく

ーーーケッテンクラートで真夜中の外を移動中
チト「はぁ……お腹空いたな」
ユーリ「目がまわるぅ〜かな」
チト「ずっと外を歩いてるけど、全然レーション見つからないや」
ユーリ「おーなーかーすいたー!」ドンドン
チト「そうだな……」
チト「ここまで来るとイライラするな。馬鹿ならなおさらだ」
ユーリ「ふごごごご!」ガンガン
チト「ああ、あまり強く蹴るなぁ」
ユーリ「ん……?ちーちゃん止まって!」
チト「どうした」
ユーリ「なんか……食べられるものの匂いがする」
チト「こんな場所にあるわけないだろ馬鹿か」ヘルメットコツン
ユーリ「今動いたよ!」
ユーリはつばを飲み込み、三八式歩兵銃を手に取る。
ユーリ「どこだろう……物凄い近くにいる」
ユーリはケッテンクラートから降り、下から隅々まで見渡す。
チト「こんなところで止まってられないぞ」
ユーリ「あ、目の前にいた」
銃声が響く。
チト「うあああ!何すんだお前!」
ユーリ「あれ?ちーちゃんだった」
銃声が響く。
チト「だからどこ狙ってんだよ!」ボコッ
ユーリ「いてて…でもそこにいるんだよ」
ユーリ「待っててねちーちゃん」
ユーリは銃を構え、逃げていく獲物に近づいていく。
ユーリ「おにく…おにく…おにく…」
チト「どこ行くんだよ馬鹿〜、その距離だったらこれに乗っていけばいいだろ」
ユーリ「そしたらアイツが逃げちゃうよ」
ユーリは走って獲物を追いかける。
もう一度、銃声が鳴った。薬莢が飛び、雪に埋もれる。
ユーリ「やったー!ちーちゃん捕まえた!」
チト「おー!でかしたぞユーリ」
チトもケッテンクラートから降りてユーリの側へ駆け寄る。
ユーリ「へへ、コイツちーちゃんみたいだね」
チト「何怖いこと言ってんだよ」
ユーリ「おにく…!」ムシャァ
ユーリは獲物にかぶりつく。耳鳴りがした。
ユーリ「うぇへーっ!」
ユーリは肉の欠片をペッと吐き出した。
チト「生で食うからだろ」
ユーリ「うるさいなぁ」
ーーー。

ユーリ「寝ちゃった。ちーちゃん起きて」
チト「んー、あれ?私裸だ」
ユーリ「そんな格好で寒くないの」
チト「寒いな」
ユーリ「はいこれ、落ちてたよ」
チト「ありがと…ユーリ、申し訳ないんだけど、あれ動かなくなっちゃったんだ」
ユーリ「そうなの?じゃあ歩いて行こうか」
ユーリは吹雪の中を歩いていく。
ユーリ「ぜっつぼ〜♪ぜっつぼ〜♪」
ユーリ「……?」
チトの姿がない。
ユーリ「ちー…ちゃん?」
ユーリ「ちーちゃーん、ちーちゃーん」
ユーリ「いなくなっちゃった」
ユーリは吹雪の中で座り込む。横風でユーリの片側に雪が積もっていく。
ユーリ「ちーちゃーーーーん」
ユーリ「……」
ユーリ「ちーちゃん?」
ユーリ「ちーちゃーん!!」
寺院のときのようにチトは脅かそうとしてるのだと、ユーリは思った。
ユーリ「次はこっちから脅かしてやるー」
ユーリは雪の中に埋まり、身を隠してチトを待った。

ーーー

ユーリ「おーなーかーすいたー!」ドンドン
チト「そうだな……」
チト「ここまで来るとイライラするな。馬鹿ならなおさらだ」
ユーリ「ふごごごご!」ガンガン
チト「ああ、あまり強く蹴るなぁ」
ユーリ「ん……?ちーちゃん止まって!」
チト「どうした」
ユーリ「なんか……食べられるものの匂いがする」
チト「こんな場所にあるわけないだろ馬鹿か」ヘルメットコツン
ユーリ「今動いたよ!」
ユーリはつばを飲み込み、三八式歩兵銃を乱暴に手に取り、ドンと立ち上がる。ユーリの目は血走り殺意に満ち溢れていた。
ユーリ「どこだろう……物凄い近くにいる」
ユーリはケッテンクラートから降り、充血した目で下から隅々まで見渡す。
チト「ユーリ、こんなところで止まってられないぞ。それに……」
チト「なんか……おかしい」

ユーリ「あ、目の前にいた」
急にユーリの顔の力がスッと抜けた。目も落ち着き、余裕の眼差しであった。
銃声が響く。チトの左肩に被弾し、骨が抉られカルシウムの破片が雪に紛れる。血は霧のように軽く散った。服が血を吸い込む。
チト「あがっ」
チトは運転席から地面に転げ落ちる。
ユーリ「あれ?ちーちゃんだった」
ユーリは緩んだ口をもう一度食いしばり、チトの息の根を止めようと裏側へ駆け寄ってくる。
チト「いたぁぁ……ああ……」
分厚い服を着ていたため致命傷にはならなかったが、至近距離で撃たれたため貫通し、骨を一部持っていかれた。
チト「おぉぉいいいい!!ユーリ!!」
チト「馬鹿馬鹿馬鹿……馬鹿ァ!!」
力を振り絞り、ヘルメットをユーリにぶつける。ユーリは尻もちをついた。
チト(殺される殺される殺される殺される殺される…………)
チト「暑い…凄く暑い…」
チトは服を脱ぎ捨て、雪の中を這いつくばる。彼女の引きずり跡は白が紅に染まる道を切り開いていた。
チト「痛い…」
涙が溢れる。物理的な痛みより、別の痛みを強く感じている。肩の穴より胸の穴が苦しく、チトの頭に刺激を与えている。

ユーリが立ち上がる。
ユーリ「いてて…でもそこにいるんだよ」
ユーリ「待っててねちーちゃん」
ユーリは銃を構え、逃げていく獲物に近づいていく。
ユーリ「おにく…おにく…おにく…」
ユーリ「そしたらアイツが逃げちゃうよ」
ユーリは走って獲物を追いかける。
雪に紛れるチトだが、血で場所がバレてしまう。
チト「やめろーー!!ユーーリーー!!」
もう一度、銃声が鳴った。薬莢が飛び、雪に埋もれる。チトの腹部に命中し、ジワジワと血が溢れ出る。
ユーリ「やったー!ちーちゃん捕まえた!」
チトもケッテンクラートから降りてユーリの側へ駆け寄る。
ユーリ「へへ、コイツちーちゃんみたいだね」
チトは涙を流し、重力に任せて力なく顔を横にした。ユーリが四つん這いになり、裸のチトの体臭を十分に嗅いだ。そして腹部の傷口めがけて
ユーリ「おにく…!」ムシャァ
チト「ああああああああああああ!!」
脂肪部分を引き千切った。チトはユーリの耳元で叫ぶ。傷穴がビリビリと広がり、胸骨が現れた。血がさらに湧き出る。ユーリの顔に、腸内の激臭香る血がべっとりとつく。
ユーリ「うぇへーっ!」
ユーリは肉の欠片をペッと吐き出した。
ユーリ「うるさいなぁ」
ユーリはチトの顔をヘルメットで殴る。目を負傷し、呼吸と共に目が出だり引っ込んだりしている。
ついでに喉も切った。目の動きは止まり、空気が漏れる音が聞こえる。
チト「ヒョー、ヒョー、ヒョー」
ユーリは脂肪の柔らかな舌触りを不快に感じ雪に吐き出す。固形レーションばかりだったので脂肪は喉を通らず吐き気を催した。
チトのような何かを雪に置いてけぼりにすると、荷台の上で横になった。この日はまだ吹雪ではなく、しんしんと雪が降っているだけだった。ユーリは天から落ちる雪を見て寝て、チトは地に積もった紅白の雪を見て寝た。傷穴を埋めるようにして雪が積もっていく。

ピンクブラック

 見せかけの空、建前の地表。
 私は右手で筆を握り締め、万年かけて磨った墨を毛先へ豪快に掛け流す。
 筆を膝元から空へ、対角線上に振り上げた。墨は飛び散り、太陽の光に照らされ、美しく輝く。
 黒の水滴は空へ飛んでいくものもあれば、土に染み込むものもあった。

 私の空、私の地表。
 真っ黒の世界で、ピンクが輪郭と形をつくる。親しみやすくて、落ち着く。
 無駄なものがない、私だけの世界。炭になった桜の木から花びらが舞っている
 ひとつ、墨が滴る塊を拾った。ピンクの一筋が入っている球体。
 私は大事に、大事にした。
 この世界、誰もいない世界で。

パイはパイでもたおぱいぱい

 そっとしておくべきなんです。アレは、閑散であると述べていますが、光が反射することを嫌います。本当の自分を見つめられないんですね。少しカーテンを開けてあげたり、換気してあげるのも良いですが、被害を被りますよ……
 アレは自身の影に、釘を打ち込むのです。何本目でしょうか。ああ、いけません。こちらから新たな釘を打ち込むのはいけません。馬が新宿を駆け抜け、鹿がそれを追いかけます。

 インセンティブを試みろ、ですか。心配ご無用、アレは常に意欲たっぷりです。
 共通意識になぞられたネットワークをひと齧りしたのが原因だと。制約のないアンビバレンスは追求をやめないんですよ。そのうち、己を殺し続けていることに気づけなくなる。標準のピアニシモに形づくられたならば、アプリオリではありません。すなわち、深層心理の摩天楼ではどこを探してもセリフは見つかりはしないということです。

 アレはベッド下から偽りを取り出し、壁に旋律を刻みます。この、監視カメラから見てみましょうか。
 最後のリアルに応え続けるのは評価できますが、一定周波を流すと途端に夏の蛙になってしまいます。万物巨人の太陽がご来光、はい。まるで意味が分かりません。もう、私はアレに関わりたくないのが本音。雰囲気を含んで舐め回されるのに耐えられません。ただ、消して、三下とキックオフするのも趣があって良いと思います。後が面倒なんでやりませんが……

 兎がピョンと跳ねる前に、アレに触れようとする考えを、お捨てになった方がいいですよ。まあ、孤独の英雄になり、使い捨ての格好をつけたいならどうぞ。ドアの啄木鳥になってください。
 私は、これにて失礼しますね。では。

 最後に言っておきますが、貴方は間違っています。貴方が望んでいるものはヤンデレ、ですね。

零に消え逝くパラノイア

瞑目の蒼を駆け抜ける 原初の空に伝播する
欺瞞の民は囁いて 桎梏までも投げ捨てる
同一の不可逆の 因果の再臨に気付かず
絹の舟は顕晦し 回転木馬が堕ちていく

ぱるぃる ぱるぃー い
(意義の鼻歌よ)
るぴ ぴぎ ぎ
(澄ませば声援)
ぱ らじ えーに
(故郷は朽ち果てる)