前川的にもブログ

サルでも分かるメスイキボンジュール

みろく

 我々は、踊る貴族たちに惹かれてしまいました。それは、身のうちから咲くユリの花。花の隣に添えられた井戸から水をすくい、口に含みました。強く刺激的な、未体験の香りに哀愁を覚えました。我々が思うには、人間というものは一度、カタルシスで浄化せねばならないのでしょう。

 たとえそれが紅に汚れていたり、泥とウヰスキーが混じっていたりしても、です。

 我々はイドを覗き込みモノクロから汲み上げます。そして水を目にすると、好奇心旺盛な我々は触れてみたくなる。細胞のひとつひとつに染み渡り、思わず深い溜め息が出てしまいました。

 馥郁たるそれを堪能し尽くさずにはいられず、我々は井戸へ身を投げ出したくなったのです。深淵から声が聞こえてきました。俺たちと同じ真似はするな、と。深淵はカリギュラをご存知でなかったようです。
 幻聴でしょうか、背景を制約とする感性でしょうか。デリネーターを見損ない、既に井戸の中でした。

 我々を覗き込む人が見えます。彼もまた、身を乗り出しました。入ってはダメだと、大声で叫びました。気分はニュートン、これをクロノスタシスといいます。竜頭を回したくて堪らない。

 それからというのも、我々がどうなったのかは風牛馬であります。